自主規制2014年08月01日 07:48

 ある深夜アニメが、その内容が先日の女子高校生殺害事件の内容を想起させるということで、1話分放送中止となった。

 おなじみの自主規制である。そのこと自体は良識的な判断の範疇に入るだろうから、とやかく言う必要はないだろう。放送という方法はとれなくても、時期を変え、パッケージメディア等で販売すれば発表することも不可能ではない。

 問題は、自主規制が明確な基準の下に行われるものではないということだ。相撲の仕切りのようなもので、周囲と自分との立ち位置とタイミングによって規制が発生する。

 その判断を尊重するか、切り捨てるかは、規制の結果に直面したわれわれ受け手の側の問題だ。自主規制というと、規制した側をかまびすしく言い立てることが通例だが、規制を判断した立場をどれだけ斟酌するか。実は受け手のわれわれの側の問題も大きい。

 今回の自主規制については、心情的に十分受け入れられるものだと思う。それだけ規制された作品に力があるという証拠でもある。

蜘蛛巣城2014年08月01日 22:06

黒澤明監督「蜘蛛巣城」を観る。

 おなじみ、シェイクスピアの「マクベス」の翻案なのだが、主役の三船の、剛毅なのだか情けないのかわからないところが妙にリアルで惹かれた。

 もちろんオリジナル同様、あるものが「動く」のだが、この映像も見事。前編に立ち込める霧の描写が本当に効果的だ。

 実際に矢を射かけられ、撮影後に「本気で殺す気か!」と三船が黒澤に詰め寄ったというラストシーンも迫力満点。あの恐怖におののく三船の顔は演技なのか、それとも本当の恐怖なのか…

 ただ一つ残念なのは、黒澤映画によくあるのだが、セリフが割れてよく聞き取れない点。デジタルリマスターによって、フラットな音作りとなったが、それがアダとなって、肝心のセリフの部分をカマボコ型にイコライジングしていたと思われるサウンドトラック音声より聞きづらい。何事も過ぎたるは及ばざるが如しというところか。

アバド・アルゲリッチ・モーツァルト・ルツェルンライブ2014年08月02日 21:49

 クラウディオ・アバドがその最晩年に、ルツェルン音楽祭でマルタ・アルゲリッチと最後に共演した。そのときのライブ録音のCDが手に入ったので聴いてみた。

 曲はモーツァルトのピアノ協奏曲25番、20番。

 25番はすっと柔らかに始まり、軽やかで流麗。晴れやかでエレガントな演奏。アルゲリッチもエレガントな演奏。自然に、力まず、典雅な調べが続く。第三楽章はアルゲリッチの快速ピアノで始まるが、アバドは余裕で合わせ、時にピアノの走りを牽制し、時にはリードしながら、ピタリと息の合った演奏。

 20番は25番と打って変わって、ビートを重く刻むイントロ、ペースも重めで、少しゴリッとした感じで始まる。激しい嵐を感じさせるところと、小鳥のさえずりを感じさせる部分との対比もくっきり。アルゲリッチのピアノはハイスピードで飛び込んで、それまでの重さを振り払うかのよう。そしてアバドもそれに合わせてスピードアップ。メロウな短調の曲だが、次第に若さも感じさせるように変化していく。
 有名な2楽章も、アルゲリッチは重くなったり、必要以上に感傷的になることのないスタート。アバドも自由なアルゲリッチの演奏に余裕のサポートを見せる。そしてラストは見事なテンポで一気に駆け抜けていく。早すぎず、遅すぎず、重すぎず、明るすぎず。これこそモーツァルトだと言わんばかり。

 録音も素晴らしい。ふわっと左右に広がる音像、粒立ちのよい音。

 アバドの演奏をライブで聞くことはもうかなわないことになった。アルゲリッチはまだチャンスがある。何としてもライブで彼女の演奏を聞きたい気になった。

 ちなみに入手したのは輸入盤の方。国内盤はCDの素材が変わり、日本語解説付きで、お値段も1000円弱高い。PCで取り込んでハイレゾ化してしまえばCDの素材差ぐらいは埋まるだろうと踏んで、節約に走った次第。お値段は節約しても、音楽の感動は同じである。

Let it go2014年08月03日 21:28

 ”Let it go”、というより「レリゴー」の方が通りがいいようだ。

 アレが実はとても苦手だ。

 "Beauty and the Beast"や"A Whole New World"に比べると、相当格落ちした曲としか感じられない。

 カバーも含め、町に出るとどこでも耳に飛び込んでくる。もう満腹だ。閉口してしまう。昔も今も、ヒットする曲は街中に溢れかえるものだったが、その曲を受け入れられないものからすると、まさに「音の暴力」だ。

 世間が"Let it go"にどれだけ騒ごうと、そんなこと"Let it be"でいいじゃないか…とまでは悟りきれない自分がいる。個人的には"go"より"be"の方を聞きたいものだ。

 そういえば…去年は「ひこうき雲」も、虫唾が走るくらい嫌いになってしまった…宮崎駿も生理的に受け付けない(彼は「戦争」を、以前からあまりに楽天的に捉えすぎている)ので、どうしても嫌悪感が先に立ってしまった。

 これは損な性分なのかもしれない。

異常気象2014年08月05日 01:00

 8月になって、台風の影響で大雨が続き、猛暑も激しい。

 例によって、マスコミは「異常気象」と言い始めたようだ。

 そう、例によって。もうずいぶん「異常気象」でなかった時があったためしがないように思う。

 こうなると、なにが「異常」なのか、すっかりわからない。