「グランド・ホテル」鑑賞2015年02月03日 23:37

「グランド・ホテル」を鑑賞。

1932年のアメリカ映画だが、舞台はドイツの一流ホテル。こういう上流階級や貴族が闊歩する世界は、当時のアメリカでは難しかったのかも知れない。言ってしまえばまだまだ成金国家のアメリカなのだから。

帝政ロシア時代の栄光が忘れられない落ち目のバレリーナ、身を持ち崩した男爵、経営難に陥り、合併交渉も不調な社長、日銭を稼ぐために必死なタイピスト、そして、余命幾ばくもないと宣告されたヨレヨレの貧相な会計係。彼らがグランド・ホテルで出会い、別れていく。悲劇あり、喜劇あり、欲望あり、誠実さあり。

後に「グランド・ホテルスタイル」と名を残す群像劇のお手本。現代人の目から見れば、いろいろと突っ込みたくなるところもあるが、それは野暮というものだろう。記号的な部分は記号として受け入れるのは、古い映画を見るときのお約束。そんな枝葉末節にこだわらなければ、見事な作品と言える。

ホテルを出て行く人々のこれからに、ラストにホテルにやってくる人々のことに、思いを馳せてしまう。いい余韻の残る作品だ。