アバド・アルゲリッチのモーツァルト2015年02月15日 16:02

 2013年3月、クラウディオ・アバドとマルタ・アルゲリッチが競演したモーツァルトのピアノコンチェルト、25番と20番(最近はK.503とK.466の方がよく使われるようだが、正直こちらの呼び方はまだ慣れない)。ルツェルン音楽祭でのライヴであり、アバドの死去によて、この2人の最後の競演記録ということになった。

 すっかり痩せて、往年の若々しい面影こそないものの、穏やかで芯の通った雰囲気のアバド、すっかり白髪も目立つようになったアルゲリッチ。息の合った2人の演奏は、そんな外見の変化など関係なく、あるときはゆったりと、あるときは機敏なオーケストラと、さっそうと切り込むアルゲリッチのピアノとの掛け合いとなる。決して攻撃的になるわけではない。互いの音楽を互いに受け入れながら、モーツァルトの音楽が浮かび上がってくる。

 その道に邁進してきた人間の人生の終わりには、何か不思議な力が降りてくるのだろうか。晩年のアバドの演奏にはそうした感じが強くする。最晩年にブルックナーの素晴らしい交響曲録音を残したティントナーや、ギュンター・ヴァントたちもやはりそうだった。

 CDのフロントジャケットはルツェルンの2人の画像、リアジャケットはまだ若い2人の画像。これもまた印象ぶかい。

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