ロト指揮レ・シエクル演奏 ストラヴィンスキー「春の祭典」2015年02月16日 22:48

 フランソワ・グザヴィエ・ロト指揮、レ・シエクル演奏のストラヴィンスキー「春の祭典」「ペトルーシュカ」を聴く。

 どちらも初演時のバージョンを、初演当時の古いスタイルの楽器で演奏したもの。「春の祭典」は現代オーケストラによって、改定された版で演奏されることが多い曲だ。変拍子や複雑でバーバリズムにあふれたリズムが特徴で、通常はフルオーケストラの質量感溢れるパワーで押し切る場合が多い。しかしそれは逆に言えばビートの鋭さやスピード感を削ぐことにもつながる。

 この演奏は、初演当時の楽器と編成で演奏されており、普段聞き慣れたこの曲とは違って、リズムを質量で押し切るのではなく、切れ味するどくシャープに刻んでくる。鈍重ではなく軽快に、軽やかで鋭い。

 考えてみれば「春の祭典」はバレエ音楽である。フルオーケストラのマスで押す、ややもすれば鈍重なビートでは、バーバリズムに溢れる野性的な踊りにはなりにくいだろう。この演奏のようなタイトでシャープなリズムでこそ、シャープでしなやかな踊りが生み出されてくるのではないだろうか。それが後年になって、演奏会の演目として取り扱われるようになって、現在のような形に改定され、変化していったのだろう。

 「ペトルーシュカ」も同様のアプローチで、マスを減じた分、普段は隠れるピアノが浮き出し、新鮮な印象だ。

 話題のCDだが、さすがにそれだけのことはあると納得の一枚だ。