情報漏洩2015年06月08日 22:20

 大量の個人情報が流出したと、また大騒ぎだ。

 巧妙に偽造されたメールに添付されたファイルが、新種のウィルスで云々。正攻法中の正攻法だ。

 ウィルス対策アプリと言っても、既存のウィルスに対抗するだけで、新種ウィルスには対応できないのは、現実社会のワクチンと全く同じ。ウィルス対策は予防が第一優先だ。

 では、真っ先に何をすればよいか…常識中の常識だが、Outlookを早急に捨て去ること。そしてIEも使わないようにする。メーラーやブラウザはフリーのものにするのがよいだろう(Google Chromeはこの限りにあらず)

 これだけでかなり水際でのウィルス対策になる。オープンソースはユーザ主導で開発されており、ウィルス被害を受けるのはユーザ自身なのだから、その対策は迅速であり、シェアもMS社に比べれば小さいので、ウィルスを仕込むスケールメリットも少なく、対応するウィルスそのものが少ない。

 できればオフィスアプリもオープンソース系が望ましい。MS-Officeが使うファイルと同形式のファイルでほとんど問題なく仕事ができる。

 MS社という、海外の一営利団体私企業に、行政サービスなどと言った業務が完全依存しているということが、元来不自然かつ危険極まりないことだと思うのはごく自然ではなかろうか(その意味ではMacも大同小異)。セキュリティに関しては、多くのユーザが関与できるアプリケーションのほうが、受益者が多く、トラブルは迅速に回避される可能性が高い。そもそもアプリケーションよりデータそのもののほうが秘匿性が高いのだから、アプリケーション自体の秘匿性はあまり意味をなさない。

 オープンソース=無料=サポートなし=使えない と考える風潮はそろそろやめにしたほうがいい。その風潮が技術者の枯渇を招き、オープンソースにおける日本語取り扱い環境の遅れにもつながっている。大企業と政治家のやることよりも、一般ユーザのやることのほうが大きな力を持っていることは、サブカルで世界を席巻している日本が一番よく理解しているはずなのに。まさに日本のサブカルはオープンソース的に世界進出し、この国のステータスを「ゲイシャ・フジヤマ・サムライ・ハラキリ・カミカゼ」から「クール」に一変させたではないか。

 いずれにせよ、MSに強依存する限り、情報漏洩はなくなるはずはない。私はそう確信している。

EONIAN2015年06月09日 22:41

 「楽園追放」を観た。手堅くまとまったSFアニメで、正直気に入った(そして、例によって興行成績はあまり芳しくなかったようだ)。
 作中にも何度か歌われ、エンディングにも使われた「EONIAN]という曲も気に入ったので、そのEnglish VersionをCDからリッピングし、192kHz24bitにサンプリングしなおして、Volumioを経由して、メインシステムで再生したところ、ラストのサビの部分など、もう聴くに耐えないひどいクリップ状態だった。なにせストリングスとコーラスが「バリバリ」と歪んで聞こえてくるのだから、もうこれは演出としてのディストーションを遥かに越えた「騒音」の域である。
 オリジナルの44.1kHz46bitのデータは当然残っているので、Audacityで読み込んで見たところ、こんな状態だった。
EONIANのAudacityでの解析結果
 後半はほとんど波形が潰れてしまっている。5分を過ぎたあたりは再生しても「騒音」モードだ。Audacityであれこれ補正をかけてみると、波形こそ若干見栄えが良くなるが、再生音は大同小異。小音量でこのデータを再生しても、5分を過ぎたあたりはかなり「汚くてがさつ」な音だ。ましてメインシステムでそこそこの音量で流してしまったのだから、アラが丸出しになってしまったのも頷ける。
 pops系は最近では音圧重視のマスタリングで、クリップした状態のものが多くあるとは聞いていたが、ここまでひどいとすでに商品価値そのものが減じていると言っていいだろう。意図的に聞く側に不快感を与えるためのクリップ音を現代音楽で導入することもないではないが、この曲はどう考えてもそんなことを意図しているとは思えない。言ってしまえば「台無し」である。
 mp3にスマホで、安いヘッドフォンでしか音楽を聞かない、こういうマスタリングの音楽しか聞いたことがない人々には、音楽は「こんなもの」で、クリップするぐらい「迫力がある」と感じるのかもしれない。本物の音を知らせないようにしていれば、こんな「台無し」音源でも商品になるのだろう。顧客の能力が低いほうが、作る側もいい加減な商品で儲かる。資本主義(=お金がすべて)では、これこそが「効率的」で「優れた商売」なのだろう。
 また一歩、音楽から遠ざかっていく自分がいる。


ヒプノティスト-催眠-鑑賞2015年06月11日 22:35

 「ヒプノティスト-催眠-」を鑑賞。

 スウェーデン映画。ハリウッド映画とは全く違った時間感覚を感じる。
 どこか静謐で、キンと冷えきった空気を感じる。受け身で楽しませてくれるジェットコースターアクションではなく、全般的に静かに進行していくミステリ映画だ。当然ケレン味はほとんどない。そこがかえって新鮮だ。

 しかし、犯罪現場の描写は凄惨。アメリカ映画はスプラッタでさえやり過ぎでギャグ化するが、こちらはかなり生々しい。血の色が独特で、そういった感触もアメリカ映画とは違う。

 それと、夫婦のすれ違いと不和の描写。このへんのこってり具合はベルイマンにも通ずるような気がする。

 ハリウッド映画にどっぷり浸かって、その過剰サービスに慣れてしまった観客にはそっぽを向かれかねないが、世界中がハリウッド映画と共通歩調ではつまらない。これはこれでいいと思う…しかし…

 スウェーデンの警察は、あれほどグダグダなのだろうかと、思わずつっこんでしまいたくなる所多数。捜査上の秘密がマスコミにすっぱ抜かれて大騒ぎしてしまったり(おまけにこれが重要な伏線として仕込まれている!?)、全く被害者の家族からは信用されていなかったり、ふんだりけったりだ。まるで某ミステリアニメの荒唐無稽な設定を地で行くような警察。それでも大事にならないほどスウェーデンは安全な国なのなら良いが…一応シリアス作品なのだから、よけいに心配になる。

 とはいえ、最後はハッピーエンド。めでたしめでたし。しかしそこもまた派手な馬鹿騒ぎはない。

 静かな静かなミステリ映画だった。

「アメリカの鳥」読了2015年06月21日 21:03

 マッカーシー「アメリカの鳥」を読了。

 率直に言って、主人公ピーターは苦手である。自分の思想的ポリシーを頑なに守って、その結果右往左往したり、後悔したり。自分の行動とその結果を従容として受け入れるというより、行動したあと愚痴ることが目立つ。これは正直自分の性に合わなかった。

 古き善きリベラルなアメリカを追い求めながら、それが次第に失われていく60年台。それに気づきながら、抵抗し、そして絶望し、それでも進もうとする。しかし周囲はそれを受け入れない。理想主義は常に冷ややかに扱われ、自身も腹を括りきれない。そのいらだちも感じる。

 衆愚化する社会だが、エリート主義もまた問題を多く孕む。真面目なものは迫害され、孤立し、露頭に迷う。だが、社会は確実に歪みつつある。そしてラストへ。

 主人公は苦手だが、作品は深く、示唆に富んでいる。

 しかし考えてみれば、私は「ライ麦畑でつかまえて」の主人公もダメだった。青春小説の主人公とそりが合わない自分について、考えてみる必要もあるかもしれない。

雑感2015年06月29日 05:56

 先週は政治の世界で、いろいろな勇ましい発言が飛び交っていた。

 マスコミに圧力をかけるために、スポンサーから降りるよう、経団連はしっかりすべきだ、といった内容の発言。

 某県の新聞は偏向しているので、潰すべきだという内容の発言。これについては、飲み屋のオヤジの発言と同じ、オフレコでの発言だという弁明が、講演会の中でなされたという、迎え酒的なこともあったやに聞いている。

 なんとも血の気の多い発言だ。いや、「痴の気の多い」と言うべきか。