ヒプノティスト-催眠-鑑賞2015年06月11日 22:35

 「ヒプノティスト-催眠-」を鑑賞。

 スウェーデン映画。ハリウッド映画とは全く違った時間感覚を感じる。
 どこか静謐で、キンと冷えきった空気を感じる。受け身で楽しませてくれるジェットコースターアクションではなく、全般的に静かに進行していくミステリ映画だ。当然ケレン味はほとんどない。そこがかえって新鮮だ。

 しかし、犯罪現場の描写は凄惨。アメリカ映画はスプラッタでさえやり過ぎでギャグ化するが、こちらはかなり生々しい。血の色が独特で、そういった感触もアメリカ映画とは違う。

 それと、夫婦のすれ違いと不和の描写。このへんのこってり具合はベルイマンにも通ずるような気がする。

 ハリウッド映画にどっぷり浸かって、その過剰サービスに慣れてしまった観客にはそっぽを向かれかねないが、世界中がハリウッド映画と共通歩調ではつまらない。これはこれでいいと思う…しかし…

 スウェーデンの警察は、あれほどグダグダなのだろうかと、思わずつっこんでしまいたくなる所多数。捜査上の秘密がマスコミにすっぱ抜かれて大騒ぎしてしまったり(おまけにこれが重要な伏線として仕込まれている!?)、全く被害者の家族からは信用されていなかったり、ふんだりけったりだ。まるで某ミステリアニメの荒唐無稽な設定を地で行くような警察。それでも大事にならないほどスウェーデンは安全な国なのなら良いが…一応シリアス作品なのだから、よけいに心配になる。

 とはいえ、最後はハッピーエンド。めでたしめでたし。しかしそこもまた派手な馬鹿騒ぎはない。

 静かな静かなミステリ映画だった。