Curtis FullerのBlues-etteをいじる2015年06月29日 22:47

 Curtis Fullerの名盤、Blues-ette。我が家にもCDはあるが、もちろんステレオ化されたもの。しかし、1959年発表のこのアルバム、どうやらオリジナルはモノラルらしい。それならばと、いたずら心に火がついた。

 まずはCDをリッピング。Audacityでモノラル化。ついでにモノラル化した音源をリサンプリングして、192kHz24bitに変換。単純リッピングしたオリジナルデータと、モノラル化データ、リサンプリングモノラルデータとCD、四種類を視聴。データはRaspberry-piに載せたvolumioで再生。

 まずCDから。といっても、我が家のCDはPioneerのレガートリンク・コンバージョンを経由して、96kHz16bitで波形補正がかかる擬似ハイレゾとでも言う環境。これが意外と悪くない。品よく、かといって大人しすぎず。ホーンの音色に色気があって、ベースもよく弾む。

 一方、Volumio経由の44.1kHz16bitのオリジナルを素で流すと、ざわつきのようなものが感じられて、色気や気品は後退。ちとがさつな感じで、レガートリンクに勝負あり。

 モノラル化した44.1kHz16bitは、パワフルで音像もぐっと広がる。左右にではなく、上下前後に。それに付随してエコー感も出てくる。音圧が上がっている影響もあるのかもしれないが、オリジナルステレオよりも圧倒的にいきいきとした再生。しかし、レガートリンクで出ていた色気のようなものはあまり感じられない。一長一短といったところ。

 モノラル化、192kHz24bitで、レガートリンクの持っていた色気や気品、温度感が帰ってきた。これはいい。しばし聞き惚れてしまう。

 モノラルで録音されたものは、モノラルで聴く。当たり前のようだがこれが一番良さそうだ。きちんと再生したモノラル音源は、下手なステレオよりもよっぽどいい。擬似ステレオの不自然さに比べれば、圧倒的にいい。ビートルズの録音でもよく言われることだが、再認識できた。

 ステレオだから音が良いのではない。良い録音をしたから音が良いのだ。それがたまたまモノラルであったか、ステレオであったかの違いに過ぎない。

ドヴォルザークのピアノコンチェルト2015年06月30日 22:35

 ドヴォルザークのピアノコンチェルトト短調作品33を聴く。

 カルロス・クライバー指揮・バイエルン国立管弦楽団+スビャストラフ・リヒテルのピアノ。なんとも豪華な顔ぶれだ。

 しかし、この曲、なんとも掴みどころがない。随所に魅力的な旋律やフレーズが現れるのだが、全体を貫くドラマツルギーというか、有機的な流れがなんともつかみにくい。

 そのせいか、この曲、人気の面でも今ひとつ。さすがのクライバーも一気呵成のあの生命感溢れる指揮ぶりが、ここでは今ひとつ感じられない。リヒテルのピアノも素晴らしいのだが、どことなくしっくり来ない。

 晦渋で、捉えるのにそれなりの知識が求められる曲なのかもしれない。現代音楽のように全面イメージの奔流というわけでもなく、なんとも座りが悪いといった感じだ。