AT-PEQ3改造42016年03月22日 21:56

 AT-PEQ3の改造も最終局面。電解コンデンサの総交換にとりかかった。
 まず、C1、C2の黄色いオーディオ用電解コンデンサらしきもの(0.47μF/50V)を、メタライズドポリプロピレンコンデンサ(0.47μF/250V)に交換。C5、C6の47μF/25Vは、同値のオーディオ用無極性電解コンデンサに交換。電源周りのC19、C21の10μF/50Vも同値のニチコンFGに交換。C22、C23の220μF/25Vもやはり同値のニチコンFGに交換した。
 問題はC13、C14の出力カップリングコンデンサ、4.7μF/50V。同値のフィルムコンデンサは巨大で、どう考えても換装してしまうと元のケースには収まりそうもない。値を下げれば収まりそうな積層フィルムコンデンサはあるが、それでは低域のカットオフ周波数があがってしまいそうだ。そこで、薄膜高分子積層コンデンサ、PMLCAPに目をつけた。チップ型コンデンサだが、長辺が約4mmで、ちょうどオリジナルのコンデンサの基板取り付け穴の間隔とほぼ同じ。基板のランドに盛りはんだをして、基板裏側に手半田で表面実装すれば良さそうだ。メーカーサイトでもオーディオ用と謳っているので、さっそく実装。

オリジナル
 これが改造前、オリジナルの状態。

改造後
これが改造後。オペアンプはICソケットで取り付けるようにしたので、換装も簡単。ケミコンは一回り大ぶりになり、黄色い入力カップリングコンデンサは薄型のフィルムコンに変更。C13、C14は裏面に実装したので、完全にブランク状態に見える。
改造後_裏面表面実装
 裏面。やや右側上端と真ん中やや右あたりにある、濃い緑色の四角い物体がPMLCAP。さほど難しくなく実装できた。

 改造後、ケースに収め(無極性電解コンデンサが少し干渉したが、ちょっと倒すと問題なく収まった)、自作電源をセットし、視聴。

 前回以上に静粛性が増したように感じる。パーカッションがグイグイ迫ってくる感じで、パワフルなイメージが強い。ストリングスは上品で、ややウエットだが、官能的で心地よい。ヴォーカルも少し艶が乗る感じで、生身の声の感触が伝わってくる。
 アナログレコードと同音源のCDとを比較試聴してみる。もちろん、アナログとCDではマスタリングが変わっているだろうから、単純比較は厳密には意味をなさないのだろうが、アナログはパーカッションがCDよりやや甘めになり、むしろアタック後の空気振動まで伝わってくるようなリアル感を感じる。CDのほうがパルシブでハード、コンパクトな鳴り具合だが、少々記号的な感じもする。ストリングスはクールで煌き感のあるCDに対し、実にセクシーで艶っぽい、それでいて品を失わないアナログ。CDのほうが全体的にハードでクール、アナログのほうが生身を感じる。これは優劣の問題ではなく、好みの問題だ。どちらか一つでなければならないなんて、しみったれたことをいうのは野暮。両方楽しみたい。
 少なくとも、わずかこの程度の改造で、市販の「レコードからPCへコピーできます」と謳うプレーやシステムとは次元の違う音が聞こえてくる。それは基本設計の素晴らしさが反映された結果だろう。ケミコンやオペアンプもまだまだエージング途上。どのように音が落ち着いてくるか、しばらくお楽しみは続きそうだ。

 老婆心ながら、AT-PEQ3は、そのままで十分バランスのとれた、良心的な製品だ。これに勝手に手を入れるのは、ある意味メーカーに対して失礼な事とも言える。当然この改造は自己責任のもとにおこなったものであって、その結果がたまたま良好だっただけのこと。失敗しても誰にも文句をいう筋合いはない。まして改造時、改造後のトラブルでどのような損害を被っても、それは自業自得。このブログをお読みになって興味をお持ちになった方は、どうぞそのことを肝に銘じて欲しい。わたしは決してこの機材の改造をおすすめしているのではない。これはあくまで自己責任においておこなった実験の覚え書きである。