モスラ対ゴジラ鑑賞2016年08月13日 21:39

 昭和30年台の初期ゴジラ、「モスラ対ゴジラ」を鑑賞。

 子供の頃から何度も見ているし、昭和ゴジラの中でも最も人相(?)が悪いゴジラが登場すること、徹底した悪役ゴジラであることで知られている。

 埋立地からゴジラが初登場するシーン、まずあの巨大なしっぽが何か別の生き物のように地面から突き出し揺れる。「シン・ゴジラ」での最初の出現シーンは、もしかしたらこのシーンへのオマージュなのかもしれない。

 しかし、ゴジラは、漂着したモスラの卵を利用してアコギにひと儲けしようとする悪党がいるホテルに襲いかかり、逃げ遅れた悪党は死んでしまう。結局ゴジラは勧善懲悪の片棒を担いでいる。

 名古屋城を破壊するときも、堀に足を取られてコケながら、八つ当たり気味に破壊するし、成虫モスラとの戦いはどちらかといえば笑いを誘う。そういえば劇場でも、子供時代のわたしも含め、多くの子どもたちが笑い声を上げた。

 ラスト近く、子どもたちが取り残された離島へゴジラが向かう。しかしそこにリアルな緊張感はなく、ゴジラの悪役感は薄い。

 前作の「キングコング対ゴジラ」も同様だったが、作中にコミカルなシーンが挿入されたため、対象年齢が広がり、観客動員は増大した。しかしゴジラがコミカルに扱われ始め、次第に子供だましの子供向け作品へとシフトしていく。マーチャンダイズの進行に伴い、ゴジラの本質は忘れられ、そして観客からも見捨てられていく。

 別にゴジラに限ったことではない。ウルトラマン然り、仮面ライダー然りである。次作で登場する魅力的な悪役、キングギドラのおかげで今しばらくの延命が成功したものの、ヘドラというかなり異端な敵、メカゴジラというインパクトのある敵をもってしても、本質を食い荒らされたゴジラの復活は困難だった。そしていつしか、食い荒らされた属性のほうが、多くの観客のゴジラのイメージとして定着していった。

 悪役になりきることができなかったゴジラ。次回作ではモスラに説得されて、完全に善玉に変わってしまう。

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