引退2016年12月09日 23:35

 薬物疑惑を疑われた俳優が引退したという。尿検査では薬物反応は陰性だったという。

 引退の理由は悪意あるものによるプライバシーの暴露に耐えられないということだ。ごく当たり前の考え方だろう。

 芸能人はプライバシーを切り売りするのが商売なのだから、文句を言うなという意見もあるだろう。かつての判例でも芸能人のプライバシーがある程度暴露されるのはやむを得ないというものがあったように記憶している。

 しかし、芸能人であろうとなかろうと、プライバシーは守られて当然ではないか。芸能人はその職業柄人権をある程度剥奪されても構わないというのは少々乱暴だ。

 生前、名優渥美清は頑なに自分のプライバシーを守り続けた。では彼の芸能人としての価値は低かったのかといえば、それを肯定するものなどいないだろう。

 この国の芸能界がかなり全近代的な産業であることは、昨今の騒動からもはや暗黙の了解だろう。だからといってそれを放置するのは現代社会では許されることでなないだろう。

 筒井康隆の作品に「おれに関する噂」という短編がある。こんな恐ろしいことが現実に起きるのが現代だ。一芸能人の話とは言えない。彼の疑惑云々という問題以前に、ひとごとではないと感じる。

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