「バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所」を観る2018年05月09日 00:17

 「バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所」を観る。

 イギリスからイタリアにスカウトされた音響エンジニア。担当する映画は、乗馬の話という触れ込みだったが、その実は魔女もののホラー映画。というより、どうやらスナッフ映画に近いような、グロ系ホラーらしい。

 というのも、製作中の映画はオープニングしか登場せず、ひたすら残酷シーンはアテレコやSEの制作場面で暗示されている。スタジオではスイカを叩き潰し、キャベツをナイフで突きまくりと、絵面は風変わりなキッチンなのだ。だが、その音がグロ映画を暗示させてしまう。なまじグロ映像を見せつけられるより、観客の頭の中にあるグロい殺戮シーンを引きずり出してしまうのだからタチが悪い。

 この映画スタッフもかなりグダグダらしく、プロデューサーは芸術をひけらかすばかりのただの暴君、監督は女優をものにすることばかりを考え、経理は仕事をまともにしようともせず、金払いも最低。おそらくは踏み倒す気まんまんという体たらく。こんな中で真面目なイギリス人レコーディング・エンジニアはしだいに心を蝕まれて…

 とまあ、絶対に一般受けはしない作品。終わりなき悪夢に引きずり込まれそうな作品なので、メンタルが疲労しているときにはパスするほうが無難。けっしてお茶の間で家族と観てはいけない。