「疑惑の影」を観る2018年07月06日 00:10

 ヒッチコックの「疑惑の影」を観る。

 ショッカー描写皆無、古き良きアメリカ西部のありふれた家庭が舞台。

 ジョセフ・コットンが冒頭から何かに追われている様子。そして電報で姉一家を西部の街に訪問すると連絡する。これが物語の発端。列車の中でも閉じこもり、仮病を使って列車から降りるが、迎えに来たヒロインの姪の姿を見るとあっというまに元気に。このあたりから胡散臭さが一気に高まる。

 家族への手土産も高級品ばかり。義兄の勤める銀行に大金の口座を開き、羽振りが良さそうだが、姪に渡したエメラルドの指輪には送り主とおくわれた側の見知らぬイニシャルが彫ってあって、明らかに出自が怪しい品物。

 次第にジョセフ・コットン演じるチャーリー叔父さんの正体が暴かれ、姪のチャーリーに危険が迫ってくる。そしてラスト。

 ヒッチコックらしいサスペンスと言っていいだろう。品よく、ユーモアもあり、それもブラック。そしてスリルとサスペンス、ロマンスもあり。文句なしの作品。

 制作は1942年。作品に登場する新聞には「TOJO」の見出しが。そう、これは太平洋戦争が開戦した翌年公開されている。戦争を仕掛けられたアメリカが、このような一級娯楽映画を作り、戦争を仕掛けた日本はといえば…国力の差は歴然だ。

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