「カメラを止めるな!」を観る2018年10月22日 23:58

 話題の映画「カメラを止めるな!」を観る。

 ありがちな、それもあまりぱっとしない、いかにもインディーズ系のゾンビ映画…かと思いきや、どこか違和感が。そう、ゾンビ映画としての前半はワンカット、長回しの撮りっぱなしである。次第に狂気に襲われ始める登場人物たち。だが、映画としてはやはりどこか変。残虐シーンは暗示のみだし、登場人物がカメラを持っているはずなのに、この映画のカメラはそこにはないし…妙な会話や咬み合わない間があったり、唐突なセリフ回しや説明不足も。おまけに映画半ばでエンドロールまで現れるのだから、狐につままれたような気分だ。

 そのもやもやが後半晴らされていく。カタルシスあり、落ち回収ありと、メタ・フィクション的に展開する後半と合わせて、まるで2本の作品を見たような気分になれる。

 アイディアの勝利、映画を愛する者達の勝利というところだろうか。カネはないけど映画が好きでたまらない、そういったエネルギーがみなぎっている。ギャラに制作費のほとんどをつぎ込んだ、ベタアマお子様向け恋愛こっご映画に食傷している映画好きにおすすめできる作品だ。