「王たちの道2: 死を呼ぶ嵐」読了2019年01月09日 22:57

 「王たちの道2: 死を呼ぶ嵐」を読了。

 上下二段組、500ページ弱の長編、物理的に読むには時間がかかる。これで原作1巻分の2/3がやっと終わったことになる。

 複数の主人公の物語が並行して続いていくが、一番過酷な運命に振り回されているのはなんといってもカラディンだろう。好きだった女は政略結婚で奪われ、最愛の家族も救えず、自分自身も奴隷に身を落とし、いまや消耗兵にしか過ぎないブリッジマン。定めを覆して自分と自分のチームを生存させようとすれば、戦略的混乱を引き起こし、処罰を受けて半死半生の目に会わされてしまう。何度もへこたれ、くじけながらも、心のどこかに闘志が残り、必ず立ち上がってしまう。彼に付き従う風スプレンのシルが、萌キャラ的な存在となってカラディンを影に日向に支えているのがほほえましい。

 家族の危機を救うため、王女ジャスナーの非後見人となったシャラン。驚くべき映像記憶能力と画才、回転の早い頭脳を見込んだジャスナーにしごかれながら、次第に学問に魅了されていくが、それは家族を救うことと相反してしまう。彼女もまた一歩前へと行動を起こし、それが思わぬ展開を引き起こしてしまう。

 兄である国王を暗殺された名将ダリナル。兄が晩年傾倒した古代の伝承に彼もまた惹かれ、平和を希求するようになり、長く続く兄の弔い合戦を集結させるべく行動に出るが、周囲には加齢による衰えとしてしか認識してもらえない。息子に代を譲ることを決意した彼は、遅々として進まない和平工作に取り組んでいく。

 ラノベ系のほんわかした世界がファンタジーだと思っている向きには全くおすすめできない。ダークでハードな世界観で展開する、長く、そして魅力的な世界にどっぷり浸ることができる、どっしりした好著だ。次巻で「王たちの道」は完結。本国ではこの続編も複数巻刊行されているらしい。それもおそらく大部となるだろうが、翻訳されることを期待したい。

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