「荒野の決闘」を観る2019年08月08日 23:56

 「荒野の決闘」を観る。

 数あるOK牧場の決闘物のひとつだ。テーマソングは日本では「雪山讃歌」としておなじみ。ワイアット・アープとドク・ホリディの話である。

 ドク・ホリディは結核にかかっており、当時不治の病であったことから、恋人クレメンタインを捨てるように放浪し、流れ着いたのがトゥームストーンの街。ここで賭博の元締めらしいことをしている。トゥームストーンの治安は悪く、ならず者を取り締まろうにも保安官が尻込みして辞任する始末。ワイアット・アープはならず者を難なく取り押さえてしまうが、その間に牛の面倒を見ていた弟を牛泥棒に殺され、牛を強奪されてしまう。犯人はクラントン一家。アープは復讐を期してトゥームストーンの保安官を志願する。

 派手なアクションではなく、どちらかと言えば静かな作品だ。失った弟の墓参を欠かさないアープ兄弟、ドク・ホリディを追ってやってきたクレメンタインへのワイアットの恋心、クレメンタインの出現で自分の立場に不安を感じるドク・ホリディの情婦チワワの切なさなど、どちらかと言えば人間ドラマに比重がある。

 決闘に勝ったが、もう一人の弟を失い、ドク・ホリディも死ぬ。クレメンタインは街に残り、教師になると言う。ワイアットはクレメンタインへの想いを抱いたまま、故郷へと帰る。必ず帰ってくるとクレメンタインに告げるが、それは儚い願望なのだろう。

 前述の通り、テーマソングは日本では「雪山讃歌」だが、「俺たちゃ街には住めない」という歌詞は、奇しくも西部のあらくれ男であるワイアットと、上流家庭の娘であるクレメンタインとの間の恋愛の不可能性を暗示しているようで、面白い。