言葉と意識2020年01月30日 22:35

 某ネットショップの経営者が、自分の計画を推進することを表明した。その中で彼は、自分の計画に反対する存在を「現実から目を背けて一部の店舗が騒いでいる」と表現している。

 「現実から目を背け」というのは、経営者の出店者に対しての認識であろうし、まだ反論の余地もある発言だが、「騒いでいる」という表現にはかなり違和感を感じてしまった。

 「騒ぐ」という言葉には、理性的ではなく、ただ闇雲に行動する、無秩序に周囲を乱す行動をしているといったイメージがある。つまり経営者は自分の計画に対して反対し、様々な行動を起こしている出店者に対して、秩序を乱す理性的でない存在とみなしていることがうかがえる。

 内心そう思っているかどうかは、経営者の個人的見解であって、他人がとやかく言う筋合いではないだろう。だが、これを経営者の立場として、公的な場面で言葉として表現するとなると話は別だ。

 この表現は、たとえ無意識であったにせよ、自分に従わない存在を排除し、否定するスタンスを表明したことになる。自分の方針に從わないものは排除する、反対や一部の異論は切り捨てると公衆の面前で宣言しているに等しい。

 出店者はこの発言を受け、経営者に対する忖度を始めるだろう。そして経営者は出店者に対してますます強い影響力、端的に言えば強力な支配力という強権を持つことになる。その結果がどのようになるか。あえて明記する必要もないだろう。