「デヴィッド・ボウイ~最後の5年間」を観る2020年03月30日 23:58

 「デヴィッド・ボウイ~最後の5年間」を観る。

 心臓発作で中断した最後のワールドツアーの後、引退説まで流布したデヴィッド・ボウイ。突然「Tne next day」を発表して復活したが、その次の「Blackstar」の発売直後に死去。この復活はボウイ自身が死の影を背負いながら仕掛けたものだったらしい。

 どこかけだるく、物悲しく、しかし静謐なあの「Where Are We Now?」をはじめて耳にした時から感じていた死の影は、気のせいではなかったのかと今にして思う。

 ボウイは軛から生涯解放されたかったのだろう。シャイな自分から解放されるために「ジギー・スターダスト」を演じ、ドラッグに手を出し(後に無駄だったと述懐している)、そして常にアナーキーな活動でファンの予想の斜め上を突っ切り続けた。そんな彼の究極の解放が「死」であり、それと向き合い、受容し、それでもなお新しい世界を求める。あくなき「自由の希求」ということか。

 「自由」を求めることはなんと厳しいことか。あらためて彼の曲をまた聴きたくなった。