「シャレード」を観る2020年05月09日 16:38

 1963年のアメリカ映画「シャレード」を観る。

 これもなかなかきちんと観る縁がなかった作品。テーマソングはもとより、ヘップバーンの映画なのだが、どういうわけか仕切りの間合いが合わなかった。本も同様なのだが、映画も音楽も「積読(積視・積聴)」状態になっている。

 オープニングから60年代ががっつりでいい。テーマソングもオープニングの列車のカットを引き継いで、列車の走行音を模したビートに乗って演奏されている。こういうビートの遊びが他にも何回も。
 往年の個性派俳優も大勢。ケーリー・グラントやらジェームズ・コバーン、ジョージ・ケネディやら、存在感が強烈な面々。そしてヘプバーンである。これだけでも十分ではないか。

 お話は現代ファンタジーそのもの。ツッコミどころは満載だが、そんなことにツッコミを入れるのはそれこそ野暮の極み。タイムボカンシリーズにシリアス路線のツッコミを入れるのと同じようなものだ。ストーリーにいい意味で振り回される心地よさを楽しむのが一番。コメディとロマンスとサスペンスのバランスがちょうどいい。どのパートも今ひとつの感があるが、このバランスでないと、トータルとしての作品は壊れてしまうに違いない(現にリメイク版はサスペンス色を強めたら、日本では劇場公開にすらこぎつけなかった)。

 キャストも含めて、絶妙のバランスで作り上げられた、言い方を変えれば危ういバランスで成立した作品とも言えるだろう。どこをいじってもアラが目立ってしまいそうだ。まるで零戦のようだとも言える。重箱の隅をつつくのはひとまずやめて、ぽかんと口を開けながら最後まで見ているのが一番。

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