「メカ・サムライ・エンパイア」読了2021年02月21日 14:36

 ピーター・トライアス「メカ・サムライ・エンパイア」読了。

 前作「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」の数年後が舞台となり、主人公も高校生に変わって、ハインラインの「宇宙の戦士」のような成長物語となっている。

 主人公、不二本誠は両親を前作の抗争事件で失った孤児。いわゆるオタクで小太り、ゲームびたり。でもどこか真面目で負けず嫌い。オタク仲間の友達秀記と、ドイツからの女子留学生グリセルダと日々を過ごしている。巨大ロボット兵器「メカ」のパイロット志望だが、彼の行くところ修羅場が常に待っている。

 士官学校の入学試験ではテロリストのために友人を失い、実技試験では個人的偏見を持った試験官の嫌がらせにあうなど散々。だがエリート街道をゆく女子優等生範子の助けを得て第二の進路を見つけることができる。そこでの地獄のような訓練を経て、友人もできた。ドイツに戻ったグリセルダと再会するが、ナチス政権のドイツと日本合衆国は険悪で、グリセルダとの交友が原因でリンチにあうなど、なかなかいいことがない。

 そんな誠が公式任務で赴いたのはナチスとの国境、そこでまたまた過酷な運命が待っている…

 とにかく誠の行くところ、修羅場と殺戮と破壊のオンパレード。つかの間の幸せをことごとく叩き潰す出来事が連続するが、そんななかでも人とつながり、立ち上がり、這い上がってく姿がいい。前作に登場した特高の槻野昭子もいい味を出している。また、前作ラストで活躍した少年メカパイロット、久地樂が相変わらずの傍若無人っぷりで登場するのも嬉しいところ。

 前作とはカラーは少し違い、メカバトルもたっぷり。権謀術数そのものより、それに振り回されながらたくましく生きる若者たちの姿には明るさがある。

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