pico audio2022年01月20日 20:18

Raspberry pi picoというマイコン基盤がある。一つ500円程度。ピンヘッダを買って自分ではんだ付けしてもいいし、はんだ付け済みの商品でも1000円もしない。ただ、マイコンボードなので、単体では何もできない。外部からプログラムを書き込む必要がある。

 そこはRaspberry Piを名乗るだけのことはあり、Raspberry PiでmicropythonなりCやC++のライブラリを使ってプログラムを仕立て、USB接続すれば簡単にマイコンとして機能させることができる。もちろんWindowsやMacでも制御は可能だが、何もしなくても開発環境が全て揃っているのはRaspberry Piの強み。

 ピンヘッダにそのまま差し込む拡張ボードも何種類か発売されていて、pico audioという2000円程度のボードを使えば、ヘッドフォン・ライン出力つきUSB-DACとして動作させることができる。

 ネット上から情報を仕入れ、C++をコンパイルしてpicoに送り込み、pico audioを挿して、PCのUSB端子とpicoを繋げば、もう何もせずにUSB-DACとして機能する。ドライバインストールの必要もない。

 ネット上ではpicoの性能制限で、pico audioではサポートできるはずのハイレゾ対応はできず、44,1kHzか48kHzまでの音声データしか使えないとの情報もあるが、192kHzサンプリングのflacデータを放り込んでも問題なく音声は再生する。pico内部でダウンサンプリングされているのかどうかは不明。まあ、音がなるのだから固いことはなしにしよう。

 という具合で、音質はといえば、WindowsのノートPCのヘッドフォン端子に比べればかなりましな音だ。ちょっと聞きにはすごくよい音に聞こえるが、よく聞いてみると、セパレーションが強調されて中央音像がやや薄め。音の粒立ちや定位もそこそこ。Technics music appやVolumio上のHifiberry DAC+と比べてはいけない。2000円台のUSB-DACに高望みは禁物だ。

 音系ガジェットとしては及第点。もちろんpicoはDACをやめて別のものに仕立てることもできる。だが、DACはそのままガジェットとしておいて、もう一つpicoを新調して別のものを作るほうが楽しいかもしれない。なにせ一枚500円なのだから。

 一枚5000円〜8000円程度のRaspberry Piと、一枚500円のpicoでプログラミングの学習をするイギリスの小中学生、何と羨ましいことか。一人一台端末の買い取り代金として高校入学時に70000円も支払わねばならず、義務教育のプログラミングも簡易GUI程度というどこかの国とは大違いだ。