「THE GUILTY/ギルティ」を観る2022年03月14日 22:16

 「THE GUILTY/ギルティ」を観る。2018年のデンマーク映画。

 作品はすべて1部屋(厳密に言えば2部屋か)の中だけ。実際に登場するのも主人公を含め数名のみ。舞台はデンマーク警察の緊急通報指令室。主人公アスガーはどうやら現役の刑事だったらしいが、何らかの事件で裁判を明日に控え、どうやら一時的にこの部署に左遷されているらしい。

 そんなアスガーの端末には、ヤク中やらわがまま野郎やら非常識な連中やらのいたずら電話じみた通報が続く。どうやらデンマークでは日本と違ってここに事件・事故・救急の通報がまとめて来るようだ。いきなり店の名前らしいものを連呼して、すぐにこい、わかるだろう?なんて言われてもわかるはずもないし、自転車で転んで膝を擦りむいたから救急車をよこせなんて、日本なら世間から後ろ指刺されまくりだが、こんな電話ばかりではくさるのもわからないでもない。

 そんな中で、アスガーが取った電話の一つに、明らかに誘拐された被害者と思われる女性の声の電話があった。アスガーは必死になって電話越しに情報を集め、捜査を始めていくのだが…

 北欧の映画では、どうやら警察はあまり頼りにされていないような扱いだが、この作品でもそういう空気は伺える。アスガーの電話対応も、日本ならありえないような乱暴なもの。それでも彼が必死になって捜査する様子はひしひしと伝わる。見ているこちら側も電話越しにしか状況が把握できないのだから、想像力を目一杯働かせるしかない。おまけにこの設定では、音しか情報がないのだから、劇中はBGMなし。電話の呼び出し音がこんなに神経を逆なでする映画も珍しい。

 やがてこの事件の真相はとんでもない方向に向かうのだが…そしてアスガーの明日の裁判についてのことも次第に明らかになるのだが…

 ラストシーン、明確な情報はなにも示されない。解釈は観る側に完全に任されている。上げ膳据え膳で何もかも説明されないと気に入らないという人には、こういう映画は受けないかもしれない。緊張感がもたないせっかちな人にも向かない。アクションもないので、カタルシスはのぞめない。しかし、いい映画だと思う。ハリウッドがリメイクするだけのことはある(リメイクが成功するかどうかは別問題だが、未見なのでこれ以上は判断できない)。

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