「質の悪い子ども」とは?2022年07月03日 16:13

 某政党の党首とやらいう御仁が、マスメディアの番組の中で「質の悪い子どもを増やしては駄目だ」とのたもうたとか。

 その後に続くのがまた傑作。「将来納税してくれる優秀な子どもをたくさん増やしていくことが、国力の低下を防ぐ」のだそうだ。

 国に金を収めるのが優秀な子ども、国に尽くすのが優秀な子ども、国を儲けさせてくれるのが優秀な子ども。金払って養育するのだから、見返りを返すのが優秀な子どもだという算盤勘定が透けて見えるほどの透明度…というより底の浅さか。

 そのうちどこぞの誰かさんの誇大妄想的国家観のために命を棄てるのが優秀な子ども、そのために税金投入したのだぞなどと簡単に優秀の基準をすり替えられそうだ。

 わかりやすいのはけっこうだし、透明度の高い説明はあるべきだが、底の浅い思想は御免被る。

 第一、人類はその歴史の中で何一つ満足に自分たちの問題を解決しえていない。戦争・殺戮・犯罪・差別…どれもこれも根が深く、長い間の問題であって、簡単に解決できるものではない。だからこそ努力し続けなければ、せっかく手に入れた僅かな成果もあっという間に壊れてしまう。わかりやすくお手軽な解決方法などあれば、こんなに人類は苦労していない。わかりやすい政治、わかりやすい社会問題の解決法などないのだ。それを「わかりやすく」言うこと自体、眉唾ものである。

 もともと将来は不安なもの。予定調和などない。あぐらをかいてじっとしていれば幸せな極楽生活ができるなど、近年の日本のお子様向け恋愛映画よりもさらにナンセンスなことだ。金払ったんだから元よこせなどという呆れた理屈で育てた人間のどこが優秀か。第一、現実に払った金の元が取れる商売があるはずもなかろう。そんなことをしたら赤字てあっという間に倒産である。

 特定の政治家を批判しているわけではない。今回取り上げた発言は氷山の一角に過ぎない。人を人とも思わぬ言説はこの国だけでなく、世界中で、今だけではなく、過去からずっと、政治に携わる連中の口から吐き出し続けられている。そして、その延長にあるのは国家の分断か全体主義か、そのどちらかだ。同調圧力で有名なこの国は後者だろう。そして「全体主義」とくれば、最も有名なのはナチス・ドイツだ。

 ユダヤ人を搾取し、強制労働させ、そこで生み出された財を享受したドイツ国民は熱狂的にヒトラーを支持した。ユダヤ人搾取を正当化するために差別を利用し、夜郎自大的誇大妄想と金と欲望を国民にばらまくことで支持を集め、オカルトと無責任体勢の上に構築されたナチスの末路は周知の事実だ。

 あのファーストガンダムの中で、デギン・ザビが長男のギレン・ザビにヒトラーの話をすると、ギレンは明らかにヒトラーを知らずに話を打ち切ってしまい、デギンは「ヒトラーは滅んだのだぞ」と一人つぶやくというシーンがある。あのアニメのシーン(歴史教育もずさんな未来ってなにさと当時笑ったものだ)が。現実となって今、政治の世界で展開されているのではないと、切に思いたい。