「Uボート ディレクターズカット」を観る2022年09月04日 08:59

 「Uボート ディレクターズカット」を観る。

 これもまた縁が薄かった作品。3時間超ともなると、それなりの気構えも必要となる。劇場で観ることが叶わないと、なかなかじっくり観ることのできる尺とはいい難い。つまみ食い的に観ていたが、やっときちんと観ることができた。

 とはいえ、この長尺をダレることなくしっかりと引き締めているのだから見事。Uボートをメインに据える映画なのだから、当然ナチス側の視点なのだが、そういうイデオロギーは最前線にとってはどこかよその話。乗組員たちにとってヒトラーもナチスも、自分たちを死地に追いやる厄介な連中であって、連合軍との変わりはない。そんな中に一人ゴチゴチのナチ将校も乗り組むが、やはり浮いている。そんなエリート将校も、水兵たちと平等に「ケジラミ」にやられてしまう。前線の現場ではイデオロギーなど簡単に吹き飛んでしまうことを笑いで皮肉るというのがいい。庶民派視点である。

 食料、補給、乗組員各自の事情、ナチへの反感、敵との交戦の恐怖、水圧との戦い、狭い船内でのストレス…数え切れない困難に見舞われる乗組員の姿には感情移入せざるを得ない。極限状態では敵味方や政治イデオロギーなどは力を失う。

 人口に膾炙しているが、ラストシーンの残酷さはやはり衝撃。

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