マイナンバーカード2022年10月13日 20:52

 マイナンバーカード、普及率が伸びない。

 平日0830〜1715の間に、本人(未成年の場合は後見人も同行)が役所に行って申請するか、受領しなくてはならない。書面やオンラインで申請すれば、受領に行かねばならないし、郵送で受領したいなら役場に申請に出向かなくてはいけない。

 郵送といっても本人限定受取郵便で送付。本人が受領するか、窓口に行かなければならない。最近は郵便局も遅くまで配達してくれるようになって頭が下がるが、交付に役所に行かねばならないのだから、根本的な問題は解決しない。

 平日の0830〜1715に、自分の住んでいる街の役場に行ける成人がどれだけいることやら。学生だってそんなに近場に住んでヒマな人ばかりではない。社会人ならなおさら。住居のある場所で就労しているという保証はまったくない。マイナンバーカード受領等の場合は休暇措置を職場は考えなければならないのだが、仕事にけりがつかないと、いくら職場が勤務体系や給与体系で受領時間や申請時間を保証したところで意味はない。おまけに「仕事が忙しい」は代理人を立てる理由にはならないとご丁寧にキャプションがついている。日々の暮らしのために忙しく働いている国民のことなど考慮されていないと言われても、反論できないだろう。それとも、職員のマイナンバーカード取得率が80%を下回る企業や教育機関には強制的に操業停止などのペナルティでもかけるぐらいの覚悟はあるのだろうか。

 運転免許証の更新だって、いまは週休日に手続きが設定されている。勤務地近傍の役所で、週休日交付あるいは時間外交付などの手当をすべきだ。数年おきに写真も取り替えなければいけないなどの有効期限まであるマイナンバーカードであればなおのこと。

 高齢者や年少者に対する配慮も不足。親子揃って役所に行かないと未成年のマイナンバーカードは取得できない。平日、子供と保護者が休みを合わせることがどれほどできるというのか。夜間の交付は絶対に必要だろう。高齢者に対しても、あまりに代理人を立てるための書類が煩雑すぎる。行政側が施設に出向くなりして交付していかない限り、物理的に取得不可能な高齢者が続出する恐れがある。

 悪用する連中を排除したいという発想はよくわかるが、そのために機能不全に陥るシステムは無意味だ。セキュリティ対策にリソースのほとんどを食われて、まともにオフィスアプリも動かなくなったPC(企業には意外とこういう役立たずをお仕着せで職員に投げ渡すところが多いらしい)で仕事をさせるのと同じで、ユーザの不満は募るばかりだ。

 私はと言えば、なんとか平日に都合をつけて受領には行ったが、マイナポイントをどうするかと言われても、住んでいる田舎では縁遠くてまったく役に立たないものばかり。「使うものがない」と、ポイント登録は放棄して帰ったのだった。