教員が足りない2023年01月20日 20:52

 教員が足りない。

 それはそうだろう。内定は遅い、給与ベースも高くない、残業は多い(一応基準はあるそうだが、民間同様有名無実化も行わているらしい。部活動などでは休日もなくなる)、クライアントのバッシングも多い、そして相手する子供がみんな勉強好きでやる気があるとは限らない(というより、勉強好きな子供が多数派なのかどうか、自分の胸に手を当てて思い出してみるといい)。

 大村はま氏の著作を読むと、彼女の上司は「若い教員はいつまでも残業せずに、とっとと帰って勉強しろ」と言っていたという。報道で目にする教育現場とは真逆だ。

 部活動に至っては、道楽人ならともかく、滅私奉公、私生活犠牲は当たり前の風潮。暴言・暴力は跡を絶たず、それを歓迎するマゾヒスト的保護者までいる始末。こうなるともう「スポーツ依存症」だ。だいたい部活動は道楽。そんなもので進路が左右されること自体おかしい。ギャンブル依存症の人間が進学や就職で優位になるのがおかしいのと同様。e-スポーツの出現でゲーム依存症はこれから就職・進学に優位に立てるのだろうか。冷静に考えてみればおかしな話だ。そんなおかしな話の世界に現世の利益が絡みつけば、歪みが出るのも当然。

 高校野球の実態はプロ野球に対する求人活動なのだから、就職試験である。道楽にはなりえない。ならば高校野球はすべてプロ球団就職希望者のみで行うべきだろう。道楽でない限り部活動などにはなりえない。下手の横好き野球小僧の存在する余地がないからだ。他のスポーツも同じ。スポーツのアナロジーに乗っかっている文化部という集団もまた同じ。いつまで「巨人の星」とその亜種のまねを続けているのだろう。マンガ依存症も甚だしい。教員は若くしてリングの横で真っ白に燃え尽きるべきだとでもいうのだろうか。

 今年から中学校を皮切りに部活動の地域移管、学校からの分離の取り組みが始まるらしい。それはそれで(競技スポーツが戦争のアナロジーから本質的に脱却できない限り)新たな問題を生むだろう。だが、少なくとも教員に「とっとと帰って勉強しろ」と言える環境はできるだろう。街に出て、子どもたちがどんな社会、どんな環境に生活していて、世の中のどんなものに惹かれているのか、そんな子どもたちに何を、どのように、なぜ教えるのか、すべての教員がそれをしっかり考えられる環境を確保しない限り、教員は魅力ある職業になりえない。