変化の時間差2023年01月21日 17:51

 社会の変化速度が加速度的に早まっている。

 十年一昔どころか、下手をすると十ヶ月一昔にもなりそうな状態だ。かつ消え、かつ結ぶ、淀みのうたかたのようにいろんなものが現れては消え、また変化する。そして気がつくと、社会のルールや基盤、パラダイムもがらっと変わっている。

 もはや自分の過去の常識など、ほとんど使い物にならなくなっている。バブルの頃の常識など、もうほとんど役に立たない。歯磨きのしかたでさえ何度変わったことか。

 その変化が、残念ながら全国一律にやってこない。そしてその速度についていけず(あるいは変化したことに気づくこともできず)、結果的に排除されたり否定されたりする高齢者や地方在住者が増えている。国家レベルでも変化に対応できない困った国家が困った行動に走っているのは周知の事実。たしかに否定された常識を振りかざされるのは迷惑千万だが、それを排除しないとこちらもやっていけないぐらいの切迫感とゆとりのなさも問題だ。分断と反目はやがて暴力につながる。世間を騒がせている昨今の凶悪犯罪の裏にもそんなものを感じてしまう。

 古くは夏目漱石の「苦しくってしかたがないが、そうせざるを得ない」開化の社会の描写があるが、まさにそれが当時以上の規模と速度で襲ってきている。変化は世の常、昨日より今日のほうがマシな世界になるように変わるのは歓迎だが、一休みするメリハリをつける方法はないのだろうか。