「VHSテープを巻き戻せ!」を観る2023年02月08日 21:25

 「VHSテープを巻き戻せ!」を観る。2013年アメリカ、ジョシュ・ジョンソン監督のドキュメンタリー映画。

 今となっては懐かしいVHSテープ。βとの規格争いや映画コンテンツ、レンタルビデオの勃興とそれに伴うコンテンツ製作のありようの変化を、愛情を込めて描いた作品。

 ビデオコンテンツに飢えた人々に対して、劇場では観ることが難しいマイナーな作品、B級作品が次々と発掘され、残されていく用になった顛末、安価な製作が可能となったビデオ制作コンテンツについての話など、興味深いものが多かった。

 ビデオ製作コンテンツと機を同じく誕生したAVの誕生と普及など、低予算で一定の条件さえクリアすれば何でもありの日活ロマンポルノが若手監督を輩出していく構図とよく似ている。またレンタルビデオで借り出したビデオテープの傷みっぷりが、他の視聴者がどこに注目をしたのかのマークとなるというのは、かつての古本の書き込みが勉強になっていた時代との類似を感じさせる。何度も繰り返し再生が自由にできるビデオテープが、映像制作者たちの学びを変革したというのも興味深い。

 押井守のインタビューがあるなど、日本でも馴染みのある話題が多い。考えてみればβもVHSも日本が開発したハードウェアだから、当然といえば当然か。

 確かに、ビデオで世に出た後、配信を含め観ることができなくなった(愛すべきB・C級)作品も多い。ビデオテープ時代にバカバカしさに笑い転げた「インベージョン・アース」をまた観たくなった。