wild turkey スタンダード2015年12月10日 22:53

 Wild Turkey スタンダードを購入。

 お手頃価格だったので、バーボンの代名詞的なこのウィスキーを試してみた。

 一口含むと、いかにもバーボンと言った感じの、媚びてくるような甘さが口に広がる。スペイサイドやハイランドのシングルモルトが持っている、凛とした貴族的甘さではなく、庶民的なちょっと粘りのある甘さを感じる。

 香りも同様で、少しまとわりつくような甘い香りだが、決して不快ではない。むしろこちらも一緒にドロンと蕩けてしまいそうな、少し妖しくて、でもそれに身を任せてしまいたくなるような甘さとでも言おうか。

 シングルモルトはこちらも対峙しなくてはいけないような感じがする味わいだが、バーボンは一緒にグデっとリラックスできそうな感じだ。明日の事は考えず、ひたすら怠惰になりたい、そんな気分の時にハマりそうな、少し魔性も感じる味わいだった。

「ヴァインランド」読了2015年12月18日 06:56

 トマス・ピンチョンの「ヴァインランド」を読了。

 ストーリーはシンプルだが、なんとも饒舌で豊か、暴走と混沌とおふざけの心地よい混交でボリュームのある世界だ。

 生者と死者との境界すら曖昧な中で、60年台アメリカと80年台アメリカとの相克も浮き彫りになるが、深刻になることもなく、さり気なく、サブカルチャーを下敷きにした皮肉たっぷりに右傾化するアメリカを批判するスタンスが面白い。

 ラストの落ちはマジック・リアリズムも連想させられるし、エンドシーンは冒頭とリンクして円環をなしている。クレバーな設計で組み立てられた、破壊的痛快作とでも言おうか。