最近の出来事2016年04月27日 22:54

 人の弱さがあるところ、誠実さはかんたんに失われてしまうらしい。

 誠実さは欲望の前では簡単に塗りつぶされ、時には攻撃されもする。

 しかし、誠実さを失ったものには、必ず厳しい反動がある。

 時に、反動が来る前にこの世から退場する幸せ者もいるが、遺された者達には苦しい日々がやってくる。当の本人はとっくにこの世を引退しているから痛くも痒くもないのだろうが。

 貧すれば貪する。よく言ったものだ。昨今の出来事を見ていると、そういう思いを強くする。

 本当に「貧する」者とは、どういう者だろう。

エンゲル係数上昇2016年04月28日 23:09

 この国の食料自給率は、50%を割っている。

 何を元に算定するかで色々と数値は変わるが、少なくとも原料はかなりのものが海外からの輸入に依存している。食生活の変化もそれに拍車をかけている。

 こんな状況で「円安」を誘導すれば、食料コストが跳ね上がることは火を見るよりも明らかだ。「和食」と一般に思われている食材であっても、原料を輸入が支えている以上、原料コストは高騰する。

 人間、食わなければ行きていけない。じっとしていてもお腹はすくのだ。

 食料価格が上がる。値上げは毎日でも発生する。逃げることは難しい。

 しかし、給料は年に1回しか上がらない。とても間尺にあうはずがない。

 こうしてエンゲル係数は跳ね上がる。そして、人々は食料以外の出費を控えざるを得ない。そして、日常消費する食料品は、残念ながら景気浮揚にはあまりつながらない。現代の景気は「無駄遣い」が支えているのであり、空に困れば無駄使いをする物好きは減る。

 円安になって景気が良くなるなど、とても庶民には考えられない。

 池田勇人首相時代のように、「所得倍増計画」でもぶちあげない限り、とても我々の消費は伸ばせそうにない。所得が倍増しても、物価がそれ以上になれば元も子もない。

ハイエンドオーディオ2016年04月30日 06:41

 最近、「ハイエンドオーディオ」なる音響機器を展示・販売するイベントに顔を出した。

 雑誌などで目にする高額機器の実物が目の前にずらりと並び、ダークスーツの販売員然とした男性陣や、メーカーからの人材らしき人々が、デモンストレーションに懸命だ。

 価格も5ケタ中盤あたりは少数派。6ケタなどは当たり前、7ケタものが目白押し。中には8ケタなどというものまで。

 肝心の音の方はと言うと、残念ながら心を奪われるような音は聞こえてこなかった。いかにも低音が出ていますと言いたげな、モワッとして締りのない音(ヘッドフォンで配信音源やPCのデスクトップシステムしか知らない人には新鮮か?)や、どこか小奇麗だが腰の座っていない音(圧縮音源しか知らない人にはクリアに聞こえるか?)。

 正直、これなら今の我が家のさほど高級とは言えない、それも自作アンプがらみのシステムのほうがマシだった。買い替え誘惑に駆られることもなく、とっとと帰途についたのは言うまでもない。

 メーカーが手抜き設計をしているとは思えないが、ハイエンドを名乗るには少々気が抜ける。ネット上でハイエンド害悪論が流れているのも宜なるかなとの感を強くした。セッティング条件が良くないとか、電源の質が悪いなど、催事場の条件の不利もあるだろうが、そういうものを越えて魅力的な音を出すからこそ「ハイエンド」ではないのだろうか。「弘法筆を選ばず」である。

 客層も高齢男性がほとんど。高齢女性を宝飾店に誘導する懸賞バスツアーの男性版を彷彿とさせるような会場の様子でもあった。PC音源や圧縮音源しか知らない若者たちに、「お前らの聞いてる音なんて、ただのまがい物だ。本物とはこういうものだ、覚えて帰れ!」と啖呵を切れるようなデモンストレーションとは言えなかった。

 これでは若者も貧乏なおじさんも、この世界からは背を向ける。

 今回のハイエンドオーディオには夢がなかった。
 夢のない世界に道楽は生きられない。