「午後3時の女たち」を観る2022年05月15日 09:45

 「午後3時の女たち」を観る。2013年のアメリカ映画。

 タランティーノがベスト10ににチョイスしたという映画だが、アクション映画でもバイオレンス映画でもない。

 ITでひと儲けした中年夫婦。可愛い幼稚園児の男の子が一人。エリートの夫は仕事で忙殺されてはいるが、家族思いの優しい男。妻のレイチェルは平凡な専業主婦に倦んでいる。夜の方もさっぱりご無沙汰、今で言うセックスレス状態で、なんとかしようとあがいてみるが、間が悪かったりだのなんだので解消できない。艶笑喜劇のパターンだ。

 ママ友夫婦と悪乗りしてストリップショーに繰り出し、そこでストリッパーのマッケナと知り合い、その後ひょんなことから彼女と同居することになって…

 あとはまあ、想像通りのすったもんだの騒動で、結局レイチェルは無神経なエリートセレブの生活からちょっと他の世界をのぞき見て、ショックを受けて、でもその世界と自分は断絶していることを思い知って…

 誘惑されてもがんとした態度を崩さない旦那は、もちろん自分たちがいる世界のことをよくわかっている。妻の意思を尊重しようとしているが、妻が自分たちの世界の外に目を向けることが理解できていない。

 レイチェルはママ友たちとも気まずくなり、夫とも気まずくなり…

 印象的なのは、ホンダのファミリーワゴンを洗車するオープニングとラスト近くのシーン。もちろん洗車はこの作品のシンボルとなっている。そしてラスト、頭でっかちな夫婦も少し「イキモノ」に戻れたようだ。

 R15+なのはテーマがテーマだけに仕方ないだろうが、本質はそこだけではない。セレブの世界観を残酷なまでに突きつける苦い(そしてある意味救いのない)笑いがタランティーノの琴線に触れたのかもしれない。

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