羊文学「our hope」を聴く2022年06月03日 20:00

 羊文学のアルバム「our hope」を聴く。

 なぜかCDよりハイレゾ音源のほうが若干安価だったので、配信を購入。

 かなり社会的・政治的な香りのする曲が多いように感じる。悲劇的な終末を受け入れながら今を生きようとする人を描く「光るとき」や、ジャンクな幸せを詰め込まれ、それに不満を言うすべもないが、どこか満たされない、漠然とした不安を訴える「金色」「くだらない」といった曲も面白い。まだまだメジャーというわけではないからこそ、妙な横槍も入らずにこういう曲が歌えるのだろう。だが、メジャーな芸能人がテレビで政治や社会への不満を語るとバッシングされるこの歪んだ正義がまかり通る世の中で、ちゃんとそういう歌が歌えるということを知らせてくれたのは、うれしい。また、その中でユーミン的な曲の「パーティはすぐそこ」がポコッと収められているのも面白かった。

 ただ…致し方ないのだろうが、コンプレッサーを際限なくかけまくり、音圧を無理やり引き上げて、過剰包装・合成着色料まみれとなっている音質は。この国のpops音源として相変わらず辛い。楽器の定位も減衰余韻もあったものではない。商品として売り込もうとした結果、音楽作品をスポイルするこの歪んだ音楽業界は、なんとかならないものか。

 かつて九州芸術工科大学という、日本で唯一のレコーディング・エンジニアを養成する課程を持った国立大学が存在したが、九州大学に併合合併され、規模が縮小されたらしい。そういう場が今、この国の音楽業界には必要かもしれない。

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