「300」を観る2022年07月05日 20:26

 「300」を観る。2007年のアメリカ映画。ザック・スナイダー監督作品。

 フランク・ミラーのグラフィック・ノベル(これも古い、同じ史実を題材とした映画に触発されたという)「300」をもとにした、ペルシャ戦争の中でもスパルタ兵を特に有名にした玉砕戦、テルモピュライの戦いを映像化したもの。

 ケレン味たっぷりの映像、リアルと言うより、グラフィック・ノベルをそのまま実写化したような作品だ。その凝りっぷりがなかなかすごい。マッチョでストイックなスパルタの面々も、退廃的でパンキッシュなペルシャの面々も、動きや構図も、本気そのものである。これを観ると日本映画のマンガ実写化のレベルの低さが悲しくなる。芸能プロダクション主導のキャスティングなのか、金のかけっぷりなのか、はたまた制作側の原作に対するリスペクトや読みの浅さなのか…「シン・ゴジラ」や「シン・ウルトラマン」あたりはなんとか気を吐いているが、あれはどちらも最初から3次元である。

 ストイックな武人の世界は、どことなく侍をイメージする。日本の時代劇の侍はどことなく屈折した描写をされることも多いが、こちらのスパルタ人はまっすぐでわかりやすい。そこは紀元前のこと、まだ世界も若かったということか。

 史実の映像化なので、結末は当然わかっている。言ってしまえばネタバレなのだから、ファスト映画やネタバレ前提の観客にも受け入れやすいのではないか。鬱陶しい伏線もない。一直線に突っ走る清々しささえ感じる作品だ。

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