止まらない円安2022年09月03日 21:09

 円安が止まらない。

 誰が「円安」がいいと言い出したのか。

 円が安くなれば、資源もなく食料自給率も高くないこの国の産業や国民の生活にはリスクが生まれるのは火を見るより明らかだ。

 円安になれば、製品の値段が海外から見て割安になるので、バンバン売れて儲かるという理屈だが、その製品を作る原料のコストが上がれば、価格も上がり、元の木阿弥だ。さっと円安になってどっと爆買いしてもらって、とっとと円高に戻して、がっぽり稼いだ分を給料に回す。そんなことを考えていたのだろうが、すでに日本のものづくりはそれ以前からオワコン化していた。だからいくら稼いでも、時代遅れの製造業は海外の先進的製造業の突き上げを喰らい、それに対処するために金をつぎ込み、満足に給料に回すこともできず、内部留保ばかりが膨れ上がった。

 内部留保は貧富の差そのものだ。少数の大企業が太りあがったのは、じつは長い目で見れば大多数の国民からの賃金搾取に立脚していたことになる。その間も日本の産業力はジリ貧化して、とうとう円の信用すら崩壊してしまっている。すでに金利を上げる選択すらできないのだから、末期症状だ。

 ゴルバチョフ政権時のソ連、スターリンからブレジネフ時代に腐敗しきり、崩壊しつくした国家を再建することは誰にも不可能だった。ゴルバチョフはその現実を受け止め、暗黒時代を短縮化し、ソ連という崩壊した国家をかろうじて不時着させた。だが不時着機の乗客はそのダメージの責任をゴルバチョフに負わせ、彼は国内では不人気な大統領となった。やむを得ないだろう。ソ連(そしてロシア)国民にとって、国家崩壊など知ったことではなかったのだから。勝手に独裁恐怖政治で国家を食い物にしたのは庶民ではない。

 もはやこの国の経済、産業はソ連化しているのではないか。投票率が40%そこそこの国の国民にとって、失政は「知ったことではない」。この国を食い物にしたのは誰か…

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