研究者の「雇いどめ」2023年05月18日 22:41

 研究者も10年非正規雇用で雇い続ければ、正規雇用になる。それが嫌なばかりに、どんな成果が出ていようとも10年直前に非正規雇用研究者を解雇する、「雇いどめ」が多発しているという。

 人件費削減がその目的だというが、まず「非正規雇用」で人件費を浮かして研究をさせて成果を出させ、甘い汁を吸うだけ吸ってから、金がかかるといって解雇とは、まさに研究者の「使い捨て」そのものだ。

 つまりは学術研究もその程度のものだということだろう。

 学術研究がいつ、どのぐらいのスパンで「金になる」のかなど、経済学・経営学の想定の及ぶところではない。目先の金に血眼になって学術研究、ひいては人への「投資」を無視するどころか、「コスト」、つまり不要出費としてカットすることがあたかも正しい「経済学・経営学」であるかのごとく浅薄な思考で世の中を動かした結果が、「ICT一人負け」「ものづくり大国陥落」につながったのではないか。生成型AIが日本語を扱うとボロを出すのは、AIが駄目だからではなく、AI開発に携わるまともな「日本語を使える」研究者が生み出されていないからだ。そしてそんなことはアプリケーションの「国際化」で文字コードの問題でオープンソースの世界で後れを取った20年も前からわかりきっていたことだ。それもこれも、近視眼的な「金儲け」と「効率」にうつつを抜かした結果だ。マイナンバーカードに絡むトラブルの遠因もそこにあるのではないか。

 コストカットの第一人者がどんな醜態を晒したか、忘れたわけでもあるまいに。

 いまだに「人件費削減」に血道を上げている研究機関の「不勉強」には呆れ果てる。何を研究しているのやら。それとも甘い汁を吸うだけ吸って、どこかの国の特殊部隊上がりの腕利きを金で雇って海外にでも逃げ出す算段をしているのだろうか。

 人間は噛み捨てチューインガムではない(チューインガムそのものも不人気になっているが)。人を人と思わぬ連中が査定する「研究」に、どんな意味があるというのか。