理屈と現実2017年07月12日 23:13

 家庭科で育児をいくら習っても、実際に赤ん坊と暮らして世話をしている人間にとっては、たいして役に立たないというのは、確かなことのようだ。そういう体験をした知り合いが複数いる。所詮学校や本で学ぶのは理論上の話。現実は理論を超えたパラメーターがあまりに多くて、出たとこ勝負で載り切らなければならないことのほうが多い。理論は無駄にはならないが、鵜呑みにしているだけでは何の価値もない。

 経済生活にしてもそうで、理屈通りに行くのなら、ソ連は崩壊しなかったし、世界中の戦争もとっくに終わっているはずだ。企業が倒産することもなく、リストラや低賃金であえぐこともない。

 そんなことがわからなくなっている人が増えているのだろうか。常識では考えづらい事件がいろいろと報道されている。食塩水を飲む赤ん坊など効いたこともないし、接触面が不足しているエスカレーターに、決して軽くない車いすを乗せれば、当然危険だ。夏場の塩分補給という理屈や、エスカレーターに車いすを載せるというノウハウを鵜呑みにして、それが現実ではどれほどおかしいかについては考えが回らなかったのであろうか。

 理屈を信じて現実を無視する。誰もが陥りがちなことではある。