本当に「人手不足」?2023年05月08日 22:42

 世の中、人手不足だ。

 雨後の筍のように次々できるドラッグストアには、いつも、いつまでも「パート・アルバイト募集」のポスターが貼ってある。

 観光業界や飲食店業界も、やっとコロナ禍が一段落していざ仕切り直しと思っても、去っていった人手が戻ってこないのが悩みの種とか。

 学校はもっと悲惨らしい。教員不足で担任がいない小学校が全国にたくさんあるという。中学高校でも教員不足は深刻らしい。

 その一方で、継続雇用になる直前に非正規雇用職員を「雇い止め」と称して解雇する例も多数。大学の先生までもそういう目に合うというから驚きだ。

 本当に人手不足なら、非正規雇用職員をそのまま正規雇用にしておいたほうが人材確保の点で有利だろう。仕事がちっともできない困った職員ならともかくと言いたいが、そんなひどい職員ならなにも継続雇用になる直前まで雇う意味もない。それとも、ギリギリまでそういう困った職員を引き留めて置かなければいけないほど「人手不足」なのか。それでは顧客のほうがいい迷惑だ。

 人手が不足しているのか、人間に払う金が不足しているのか。さらに言えば、人間を優先しているのか、金を優先しているのか。

 資本(=お金)主義(=〜が一番)を真に受けているのなら、経営者自身も金に支配されることになる。それが現実社会だというのなら、それこそ人間疎外社会だ。そんな社会を作ったのもまた人間。自殺行為そのものだ。

 金に人間の価値を判断する能力はない。そして、人間も他人の存在の価値を正しく判断する能力を身につけるのは難しい。まして、自分の価値を常にアップデートし続けることはさらに難しい。だからといって諦めれば、人は金に支配される。今の人手不足はこういう危機的な状況の表れなのかもしれない。