アバド・アルゲリッチ・モーツァルト・ルツェルンライブ2014年08月02日 21:49

 クラウディオ・アバドがその最晩年に、ルツェルン音楽祭でマルタ・アルゲリッチと最後に共演した。そのときのライブ録音のCDが手に入ったので聴いてみた。

 曲はモーツァルトのピアノ協奏曲25番、20番。

 25番はすっと柔らかに始まり、軽やかで流麗。晴れやかでエレガントな演奏。アルゲリッチもエレガントな演奏。自然に、力まず、典雅な調べが続く。第三楽章はアルゲリッチの快速ピアノで始まるが、アバドは余裕で合わせ、時にピアノの走りを牽制し、時にはリードしながら、ピタリと息の合った演奏。

 20番は25番と打って変わって、ビートを重く刻むイントロ、ペースも重めで、少しゴリッとした感じで始まる。激しい嵐を感じさせるところと、小鳥のさえずりを感じさせる部分との対比もくっきり。アルゲリッチのピアノはハイスピードで飛び込んで、それまでの重さを振り払うかのよう。そしてアバドもそれに合わせてスピードアップ。メロウな短調の曲だが、次第に若さも感じさせるように変化していく。
 有名な2楽章も、アルゲリッチは重くなったり、必要以上に感傷的になることのないスタート。アバドも自由なアルゲリッチの演奏に余裕のサポートを見せる。そしてラストは見事なテンポで一気に駆け抜けていく。早すぎず、遅すぎず、重すぎず、明るすぎず。これこそモーツァルトだと言わんばかり。

 録音も素晴らしい。ふわっと左右に広がる音像、粒立ちのよい音。

 アバドの演奏をライブで聞くことはもうかなわないことになった。アルゲリッチはまだチャンスがある。何としてもライブで彼女の演奏を聞きたい気になった。

 ちなみに入手したのは輸入盤の方。国内盤はCDの素材が変わり、日本語解説付きで、お値段も1000円弱高い。PCで取り込んでハイレゾ化してしまえばCDの素材差ぐらいは埋まるだろうと踏んで、節約に走った次第。お値段は節約しても、音楽の感動は同じである。