鬼神&Way out West2014年10月05日 16:33

 プリアンプの調子が再び不調なので、大々的に改修も考えている。代わりに、ずいぶん昔に作った、入出力とも1系統しかないが、トグルスイッチ4つで構成したパッシブアッテネータを接続したメインシステムに変更。

 久々に大きめの音量でCDを聴くことができた。

 「鬼神―和田薫の音楽」は、伊福部昭の弟子格で、アニメ・映画音楽などでも活躍する和田薫の作品を、2009年8月にドイツのケルンでライブ録音したもの。和太鼓のパワフルな響きや、オーケストラと和楽器の融合が聴きものだ。伊福部譲りのオスティナートやアッチェレランドの盛り上げ方、プリミティブでバーバリズムにあふれたリズム、躍動感はさすが。現地ドイツでのアニメの高視聴率を背景に、現地でリクエストされたという「犬夜叉幻想」と、「和太鼓とオーケストラのための協奏的断章”鬼神”」(これは世界初演)は、作曲者自身の指揮で収録。このアルバムの白眉である。「犬夜叉幻想」では、アニメでお馴染みのあのメインテーマが現れるが、完全な形で現れるのはバイオリンソロでの女性的な演奏、そののちフルオーケストラでの男性的な演奏が登場する。母性原理(人間の母親や女性への愛情)から父性原理(父親である大妖怪や、そのバリエーションである兄への対抗)への進行といった原作の構造を象徴しているようで興味深い。

 「Way out West」は言わずと知れたソニー・ロリンズの名盤。青筋立てて吹きまくる熱演というより、陽気なリズムに載せて、肩の力を抜きながら、リラックスして演奏している感じを受ける。もちろん手抜き演奏ではありえない。本当にノッているのがよく伝わってくるアルバムだ。サックスが左に、ベースとドラムスが右に、はっきり分離してきこえてくるのは、この時代のステレオ録音ではありがちで、今の耳ではやや違和感もあるが、演奏の前では些細なこと。面白いのは、サックスの向きが変わるのがはっきりわかる点。朝顔を上下左右に振って演奏しているのがよくわかる。

 どちらのアルバムも以前購入したものだが、久しぶりに聴いて、また新たな発見があった。これだから安易にCDを売り飛ばすのがためらわれてしまう。