おそろしいこと2014年10月16日 22:16

 通りすがりの女子大生を殺した男子大学生がいたというニュースを見た。

 誰でもいいから殺してみたかったそうだ。

 御嶽山の捜索が打ち切られた。行方不明者を最後の一人まで連れて帰りたいと願いながら、それがかなわない隊員たちは臍を噛んで下山したという。

 人の命をなんとも思わず、ただの記号程度にしか感じられない人間もいれば、たとえ死者であっても、その存在に自分のすべてをなげうって敬意を表そうとする人間もいる。

 人とその命への敬意を、理屈ではなく全身で感じ、表すことができるのが、どれほど大切なことか、つくづく思う。全身で命を感じ、尊重する能力の前では、宗教ですらただの記号に過ぎない。宗教がいかに簡単に人の命を粗末にする屁理屈と化すかは、歴史を見ても、時事問題を見ても、明らかだろう。

 太宰治の「津軽」の一節に、「親孝行は自然の情だ。道徳ではなかった。」というくだりがある。名言だと思う。