「Oscar Peterson Trio」の「The Trio」を聴く2023年03月04日 16:15

 「Oscar Peterson Trio」の「The Trio」を聴く。最近見つけた中古レコード店にはじめて入ってアナログレコードを物色したところ、いくらか気になったもののうちの一枚。お値段も手頃だったので購入。

 Oscar Peterson Trioは知っているし、CDも数枚持っているが、このアルバムについての予備知識はなし。Live Recordingとあるのが興味を惹いた。1961年、シカゴのジャズ・クラブ「ロンドン・ハウス」での演奏。シカゴなのにロンドンとはまた、混乱しそうなクラブである。

 ベースはレイ・ブラウン、ドラムはエド・シグペン。クラブでのライブなのだから、鹿爪らしい演奏ではなく、ただただ心地よい。三人の演奏テクニックも凄いし、だからといって押し付けがましくない。リラックスして聴くのに最適だし、そういうアルバムがあっていい。

 食器の当たる音や客のざわめきもリアルに聞こえてくる。ジャズクラブでのライブならではの雰囲気も楽しい。アナログ盤なので片面20分少々、両面でも50分弱。これぐらいの長さがゆったりと聴ける適量か。現行のCD盤ではボーナストラックも収録されて70分近くになっているが、そうなると忙しない現代生活では垂れ流しでもしないと聴けない。アナログ時代は長時間連続再生に憧れがあったが、過ぎたるは及ばざるが如しということか。アナログ特有の手作業(儀式?)である、盤面クリーニングやスタイラスクリーニング、そして針落とし、針上げといった行為も、曲を聴くメリハリとして機能しているような気がする。

 それに、中古のアナログLPでもこの音だ。現代のデジタルデータと遜色を感じない。かつてはアナログレコードよりラジオやTV、ダビングしたカセットテープの音質は確実に悪かった。だが、オリジナルのレコードはもともといい音を記録できていたのだろう。現在の技術なら、アナログレコードの再生機能も高音質化されている。手軽に、アナログ記録された音をいい状態で取り出せる環境になって、見直されるのも当然だと思う。