ビッグモーターとカルロス・ゴーンと2023年07月23日 19:41

 ことここに及んでやもはや「疑い」のレベルではないだろう。ビッグモーターの不正と噴飯者の実態は目を覆いたくなるほどの惨状と言っていい。少なくともこの会社の上層部やかなりの数の従業員には、「車が好きだ」という思いはないのだろう。彼らの多くにとって「車」は他に存在する大好きなものを手に入れるためにただの道具にすぎなかったに違いない。大好きなものは、「お金」「出世」といったものだろうか。その道具に使うのが使い捨ての汎用品であれば誰も文句は言わないだろう。だが、様々な工業製品の中でも「愛」が付く「車」を扱う以上、それでは世間は納得しない。

 「愛車」とは言うが、「愛冷蔵庫」「愛洗濯機」「愛スマホ」とは言わない(中には言ってもらえないのが不満なのか、わざわざ自分から控えめに「i」と小文字をつけている商品群もあるが…)。自分や家族や他社の命と財産に直結し、愛着まで持たれる「車」を扱う以上、それなりの対処が車を扱う側には必要だ。それがわかっていれば、ゴルフボールで新たな凹みを作るなど、平然と出来ようはずもない。

 そう考えて思い浮かんだのが、カルロス・ゴーンだ。彼もまた車より金が好きだったのだろう。そんな彼の指揮の結果、ルノーや日産がどんなふうになったかを考えれば、結果はおのずから判る。人々の「愛情」を鼻で笑うような経営者に未来はない。愛情とは無関係な業態に変わるほうがお互いのためだろう。この国にはものづくり業から保険業に転身しようとしている会社もある。手本には十分ではないか?