クリスマス前の惨劇2016年12月20日 22:52

 ドイツで、トルコで、クリスマス前のテロが起きた。

 クリスチャン以外にはクリスマスなど、何の関係もないし、存在すら意味をもたないのは当然だ。だが、だからといって自分が信奉する信仰以外の信仰を持っている相手の、信仰対象の日を狙うのは、あまりに思いやりがない。

 宗教が後ろ盾になると、他者のことなどお構いなしに踏みにじっても構わないという気持ちになるのだろうか。憎たらしい国の高官近くにいれば、職権を使って危害を加えても構わない、治安を守る仕事は宗教の前ではそれほど軽いというのだろうか。

 もっとも、そんな無粋な浅ましいことをしなくてはならないのが戦争だと言われればそれまでのこと。しかし、世界的に見ても宗教にはルーズな日本でも、この時期にテロ行為を行えば、人的被害の大きさは言うまでもないが、狙った時期に関しても、非難轟々だろう。

 宗教にルーズな国民のほうが、宗教に凝り固まった人間よりよほど他者の信仰に畏敬の念を持っているとすれば、一体宗教なるものはどれほど歪みを内包する危険を持っているというのだろうか。

 信仰は他者が決して犯してはならない個人の内面だが、宗教は政治活動に過ぎない。信仰は畏敬の念を持って尊重しなくてはならないが、宗教は常に批判的視点で冷静に観察しなくてはならない。政治は盲信してはならないのだから。