ネタバレ、倍速2022年05月08日 20:02

 若者のドラマ視聴の傾向に、「倍速」と「ネタバレ」があるのだそうだ。

 「倍速」はもちろん時間短縮のため。じっくりドラマを見るのではなく、ストーリーだけを把握したいらしい。まあ、昔から「プロ野球ダイジェスト」を見る人はいたのだし、話題をキャッチアップするだけならこれで十分とも言える(それに、今の国産ドラマの大半はそういう視聴で何の問題もなさそう)。

 「ネタバレ」は、安心してストーリーを見たいという心理らしい。ハラハラドキドキ、ラストが読めないドラマは疲れるのだそうだ。これにしても、かつての時代劇と同じパターンだろう。ラストはお決まりのセリフとパターンでスッキリなのだから、安心してみていられる。もちろん大団円まではすっ飛ばしても、ながら視聴でろくすっぽ見ていなくても問題なし。「この紋所が…」さえあれば問題ない。さすがに現代ではリアリティがないドラマだが、マンガ原作でマンガリアリティを愚直なまでに追求する今のドラマなら、かつての時代劇のようなスタンスの視聴は可能だ。

 そもそも原作もののドラマが多いのも、原作を知っていれば先がわかるからだろう。それをいえば大河ドラマや歴史ドラマも、史実による結末がはっきりわかっているから(映画「柳生一族の陰謀」のような超反則技もあるが)、安心してみていられるのだろう。

 なにも若者に限ったことではない。技術的に可能となっただけで、昔時代劇やプロ野球ダイジェストを見ていた今の中高年と何の変わりもない。今も昔も、テレビは「娯楽の箱」であり、「思想の窓」ではないということだ。