「睡蓮の人」を観る2023年02月14日 20:31

 「睡蓮の人」を観る。2000年の作品。製作は村田朋泰、16分のクレイアニメ。

 一人暮らしらしい初老と思われる男性が、おそらく死別したと思われる妻を思い出すという話。「思われる」と表現するのは、何の明確な説明もないからだ。セリフもない。静かな音楽と効果音と、男性のいびきとため息のみ。

 男性の一人すみかの住まいの佇まいが、古く、少し男やもめぐらしでだらしなくなっている風情をリアルに表現している。もちろんクレイ人形に合わせたミニチュアなのだが、絶妙の傷みっぷり。そこに注ぎ込む光の美しいこと。

 ゆったりとした不思議な時間が流れる。そしてラスト、この話全体が本当に現実だったのか、それとも男性の夢の中だったのだろうか、それすら区別がつかなくなるような静かな終わり方。

 どことなく凄みさえ感じる映像作品。16分は短いが、充実した作品時間だと感じる。

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