「ポリス」鑑賞2015年05月11日 22:27

 フランス映画「ポリス」を鑑賞。

 かつての邦題は「ソフィー・マルソーの刑事物語」だが、これほど内容とズレている邦題もないだろう。そりゃ確かにソフィー・マルソーは出演するが、彼女の役は犯罪者。刑事役は名優ジェラール・ドバルデュー。今ならさしずめ、人気芸人を担ぎだして、内容とはズレまくったオチャラケで宣伝するのと同じノリの邦題。原題そのままの「ポリス」のほうがよっぽどマシだ。

 登場する刑事も、それに絡む犯罪者も、犯罪者の弁護で稼いでいる小心者で二枚舌の弁護士も、みんなまっとうな人間じゃない。どこかしらモラルを欠落させている。その上にだれ一人としてわかり合えない。

 ムスリムとクリスチャン、移民と本国民、刑事と犯罪者、弁護士と犯罪者、弁護士と刑事、犯罪者と犯罪者、刑事と刑事、男と男、男と女、みんながどこかでスレ違い、対立してしまう。

 孤独でたまらないのに、お互いに守るべき一線を捨てきれないまま、別れ別れになっていく。派手なアクションもなく、一見雑然としたストーリーの展開だが、その流れに身を任せていくと、次第にうら寂しい孤独が伝わってくる。

 ドパルデューもまだ若くて細面。マルソーはアイドルから脱却しようとするところ。本国ではかなりのヒットだったそうだが、日本では大受けすることはないだろう。それぐらい渋い作品だ。もちろんこれは褒め言葉である。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://crowfield.asablo.jp/blog/2015/05/11/7632052/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。