crowfield blog

　トランプ氏がアメリカ大統領選挙に当選して、世界は騒がしい。

　アメリカ社会の変化が顕在化したのだと言う人も多いようだ。

　私はそれとは意見を異にしている。変化ではなく、ただ単に、元に戻っただけのことではないか。

　何でも世界一でないと気に入らないアメリカ。若くて強くて健康なマチズムの権化のような存在以外を無視し、排斥し続けたアメリカ。WASPによる支配に固執するアメリカ。それを取り戻そうと言うのだから、変化でも何でもない。

　すこしはマシな大人になろうとして背伸びして、とうとう辛抱できなくなった、図体がでかくて馬鹿力をもったわんぱく小僧。世間の荒波に揉まれてすっかりすねて元のわんぱく小僧に戻っただけのことではないのか。

　だが、いつまでもわんぱく小僧が力のゴリ押しでやっていられるほど、世の中は甘くない。これから、現実の波がわんぱく小僧に押し寄せてくる。古き良きアメリカなど、もうこの世に存在できない。なぜなら、古き良き世界などあった試しはなく、世の中は常に変化しているからだ。回帰したくても、時間はそれを許さない。「時の河を渡る船にオールはない」のだ。

　時代錯誤を財力と権力で覆い隠して疲弊し尽くす前に、現実に帰ってくることができるのだろうか、アメリカは。