Now's the time鑑賞2016年11月29日 22:03

 チャーリー・パーカーの「Now's the time」 を鑑賞。

 ビ・バップの代名詞、チャーリー・パーカーの晩年の録音。生涯麻薬と切れることのなかった「バード」ことチャーリー・パーカー。晩年はプレイにもおおきなムラがあったと言われているが、この作品にはそんな影は全く感じられない。

 酒場の余興であったジャズに、アドリブとヴィルトゥオーゾの要素を吹き込み、観客を一気に音楽に引きずり込む迫力と攻めのプレイは圧巻。この熱演を前に飲み、喰い、ダベり続けられるのは、よほどの朴念仁だろう。

 当然、聴く側にもそれだけの向き合いが自然と求められる。その意味で、この当時のアルバムの所要時間(このCDは、ボーナストラックも入れて40分足らず、オリジナルのアナログなら20分足らずで片面終了)は、ちょうどいいぐらいなのだろう。やたらとお得感を煽って長時間収録に走るCDは、かえって長すぎて、一般家庭でゆっくり音楽にひたるには少々持て余す。

 CDの開発時に、SONYの技術陣が直径30cmの試作品を作り、これ一枚で数時間分の記録ができると胸を張った時、同時開発企業のフィリップスのスタッフは呆れ果ててこういったそうだ。「そんなでかいメディアに、どんな音楽を入れて売る気だ?」12cmでも、向き合って聴くには大きすぎるような気がする。

 配信やポータブルプレイヤーはどうなんだって?いや、あれはながら聴きの垂れ流しですから…