トランプ協奏曲2017年01月25日 22:38

 トランプ大統領の大統領令連発で、世の中は右往左往している。

 何がそんなに大変なのか。彼は真っ正直に選挙中に言っていた通りのことを実行しているだけではないか。公約を実行するのだから、至極まっとうな政治活動と言える。

 政治家の選挙公約は、所詮そのとおりには実行されない、などと考えるほうがおかしい。ハナから政治家の公約はウソ混じりだというのなら、それは政治不信が政治の前提条件であると言っていることに等しい。マスコミもこぞって政治家の選挙公約は信用できないと言っているのなら、政見放送など、まさにエネルギーと時間の無駄遣いではないか。

 確かに、現実はそうだろう。ウソというのはきつい言い方だが、政治家の選挙公約が理想に傾き、現実化のプロセスが困難すぎる、または実現するには任期が不足するといったことはある。だが、どうせ就任したら選挙公約はトーンダウンするなどと、都合のいい甘い見通しで舐めてかかっていた結果、足元をすくわれて大騒ぎ。

 甘い見通しと都合のいい解釈で相手の動きを読み間違え、破滅へと転落したのは大本営。この国はかつて「どうせできない」と高をくくっていた郵政民営化を、小泉元首相がやってのけたことすら忘れているようだ。構造改革によって、一部穀潰し的無能高給取りの放逐の代償として、弱者切り捨てが発生した。構造改革の果ては弱肉強食社会だが、それでないと世界で生き残れないという認識はあながち間違っていない。トランプ政権はまさに弱肉強食、自国利益のためならどんなものにも牙を剥く。構造改革は、これからのアメリカという国とやりあっていくための準備に、結果的になったのかもしれない。もっとも自国民に「痛みを伴う」と正直にリスクを伝えた小泉元首相に比べ、トランプ氏は自国民に大風呂敷を広げすぎているようにも思える。また、東欧を訪問した時、スメタナとドヴォルザークの墓を訪れたほどの文化的素養があった小泉元首相に比べ、トランプ氏が文化的紳士であるとは到底思えない。紳士協定など屁とも思っていないだろう。

 いずれにせよ、選挙公約は実現するものではないという政治スタイルに反逆したトランプ大統領が、愚直なまでに選挙公約の実現に走るのは不自然でも何でもない。オタオタするほうが甘いと言わざるを得ない。

 責め立てられる前に、とっとと金と雇用を相手のポケットにねじ込んで、見事に口を封じたソフトバンクの孫正義氏のような、したたかな対応が求められるのではないか。非常に即物的だが。