「幸せはシャンソニア劇場から」を観る2021年02月01日 23:23

 「幸せはシャンソニア劇場から」を観る。2008年のフランス・ドイツ・チェコ映画。

 1936年、パリ。不況にあえぐパリの下町にあるシャンソニア劇場は、町の黒幕である不動産業者に差し押さえられてしまう。支配人は自殺、劇場は閉鎖。裏方のビゴワルも失業。浮気三昧の妻には逃げられ、アコーディオンを流しで演奏して父を助けていた息子も補導され、再婚して落ち着いた母親に親権まで奪われてしまう。

 ビゴワルは仲間と劇場の再建に取り組むことになる。紆余曲折の後、見事に再建はできるのだが、好事魔多しのことわざ通り、パリ祭の夜に事件が起きてしまう…。

 派手でもなく、刺激的でもなく、でも楽しく、小粋で、弱いものに寄り添って、根っからの悪党もいなければ、清廉潔白な善人ばかりでもない。品のいい艶笑あり、時代背景もきちんと反映されていて、本当にいいフランス映画の典型のような作品だ。そして歌。アメリカのミュージカルとも違う、シャンソンの調べが心地よい。

 ロードショーにはかからない。シネコンでもうっかりしていると出会えない。でも、出会えたら幸せなひとときが過ごせる。こういう映画をスクリーンでゆっくり観るのは今や贅沢の極みだ。かく言う私もスクリーンではなく、ディスプレイで観たわけだが、考えようによっては観ることもできなかった作品にディスプレイで出会えるのは幸せかもしれない。

「マジンガーZ infinity」を観る2021年02月01日 23:42

 「マジンガーZ infinity」を観る。劇場に行き損なって残念な思いをしていたが、やっと観ることができた。

 物語はTV版の「グレートマジンガー」から数年後の設定。「UFOロボ グレンダイザー」はなかったこととされているようだ。物語冒頭、懐かしの「機械獣」軍団と戦うのはグレートマジンガーの方。もちろん強いのだが、ピンチに。

 兜甲児はパイロットを引退し、研究者として活躍している。そんな彼が迷いながら、悩みながら、最後にマジンガーに乗る。お約束といえばお約束すぎる時代劇フォーマットだが、やはり「マジンガーZ」の存在がそんなマンネリ感など吹き飛ばしてしまう。

 まさに「魔神」のごとく戦うマジンガーZ。そのすさまじい戦闘のカタルシスが何といっても一番のポイント。思わずグレートマジンガー不要論が浮かんでくるほどの圧倒的な強さを見せつける。そんなマジンガーZも終盤、TV版の最終回を彷彿とさせるような窮地に追い込まれて…

 アメリカの某映画は、最後の希望として立ち上がる和製ロボットに「ガンダム」を担ぎ出したようだが、そのシチュエーションに「ガンダム」は似合わない。やはりそこは「マジンガーZ」だろうと常々思っていたが、今作を見てやはりそれは間違っていないと実感。「ゴジラ」といい、「ガンダム」といい、どうやらハリウッドは日本のコンテンツの有り様に対する理解が今ひとつ深くないようだ。

 TV版のお約束のコメディリリーフ、ボスボロットも健在。大人になったボスのいい男っぷりはますます磨きがかかっている。さすが右門大介=デュークフリードにいい友人だとうらやまれただけこのとはある。TV版へのトリビュートも丁寧。往年のロボットアニメの王道を行く、ある意味教科書的作品といえる。