「ホーリー・モーターズ」を観る2022年06月24日 20:59

 「ホーリー・モーターズ」を観る。2012年のフランス・ドイツ映画。レオス・カラックス監督作品。

 とにかく不思議な映画である。全編が映画へのオマージュとなっており、カラックス自身の作品のセルフパロディもある。現実と演技との区別もなく、これと言った脈略があるわけでもない。ストーリーを追っていく作品でもないので、観る人を選ぶ作品と言える。お茶の間でファミリーで鑑賞するのに適している作品では決してない。

 地方都市のシネコンでかかるような作品でもないだろう。かつてなら単館系。見巧者やツワモノ共が喜び、俗物がわかったようなふりをしてしたり顔で語り、わからないのが悔しいと、いろいろと学び始める客も現れる、そういった作品だ。ネットで視聴して、理解できないと罵詈雑言をアップしてこき下ろす風潮のある今日では、こういう作品は不遇かもしれない。

 そういえば、中盤、我々にはおなじみのあの曲も登場する。なるほど、カラックスの頭の中に、あの曲とあのキャラクターが結びついているのかと考えるのも面白い。わかるような、でもやっぱりズレているような、不思議な感覚だった。

 なんとなくフェリーニの作品、「81/2」を思い起こしてしまった。座右とまではいかないが、嫌いではない作品。

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